微生物によるものづくり

 微生物によるものづくりをする場合、必ず物質生産する微生物を培養する必要があります。バイオプロセス工学研究室では、微生物を高密度にかつ効率的に培養する方法を研究しています。バイオ工場での物質生産では、通気攪拌槽と呼ばれる発酵タンクで微生物を培養します。この写真はバイオ工場の発酵タンクのミニチュア実験装置(テーブルトップファーメンター)です。温度,pH,溶存酸素,攪拌速度, 通気量等をコントロールしながら、微生物が物質生産するために適した条件を維持して培養することができます。場合によっては、不足する栄養を流加しながら培養します。排ガスセンサーにより、排気中の酸素と二酸化炭素をモニターすることができます。

ベンチトップファーメンターを用いた培養実験

関連論文・学会発表等

  1. Morimoto K., Chiu T-Y., Konishi M. (2022) Torulaspora quercuum shows great potential for bioethanol production from macroalgal hydrolysate. Bioresour. Technol. Rep. 17: 100952. https://doi.org/10.1016/j.biteb.2022.100952
  2. Konishi M., Yoshida Y., Horiuchi J. (2015) Efficient production of sophorolipids by Starmerella bombicola using a corncob hydrolysate medium. J. Biosci. Bioeng. 119 (3): 317-332. https://doi.org/10.1016/j.jbiosc.2014.08.007

培地オミクス解析と培地AI

微生物の培地は多くの成分で構成されています。また、培養する微生物によって適した培地の組成が変わってしまします。一部の微生物は必要な栄養成分が完全に解明されていないため、組成が完全にわかっていないエキス成分を添加する場合もあります。古典的には、培地の組成や濃度をひとつひとつ条件検討する実験的な培地組成の決定方法が取られてきました。当研究グループでは、機器分析を活用した網羅的な成分分析技術と機械学習を組合わせた「培地オミクス解析」や分注ロボットによる培地調製・小スケール多検体培養法・人工知能を組合わせた「培地AI」による迅速な最適培地決定手法を提案しています。これらの方法は複数の培養関連企業からも注目を集めており、実際の微生物プロセスを対象とした共同研究を進めています。また、ゲノム編集技術などの遺伝子操作技術やゲノム解析技術の発展により、スマートセルと呼ばれる人工的に物質生産効率を極限まで高めた細胞が設計・育種できるようになりつつあります。スマートセルを用いた物質生産プロセスの開発においても、迅速な培地設計技術は注目されており、経済産業省のプロジェクトにも参画して、技術開発を進めています。

分注ロボットOT-2 (Opentrons社製,HEPAフィルターユニット付)